『白虎隊 』(びゃっこたい)は、1986年 12月30日 ・12月31日 に日本テレビ系列 で放送されたユニオン映画 製作の時代劇 。『年末時代劇スペシャル 』の第2作。初日(前編)・2日目(後編)ともに20:03 - 23:00(日本標準時 )に放送された。
幕末に起こった戊辰戦争 における会津藩 の悲劇を描いた作品。ナレーションは鈴木瑞穂 が担当。
『年末時代劇スペシャル』シリーズ最大のヒット作。堀内孝雄 による主題歌「愛しき日々 」も大ヒットして堀内の代表曲になった。
2000年12月にはDVD 化もされた。DVD版では前編、後編ともそれぞれ第一章、第二章、第三章に分けられている(2008年12月にDVD版レンタル開始)。
あらすじ
前篇「京都動乱」
文久 2年(1862年 )、会津藩主松平容保 が西郷頼母 の猛反対を押し切って京都守護職 を拝命し、孝明帝 から信頼を得て京都での活躍、「新選組 」の結成、慶応 4年(1868年 )の鳥羽・伏見の戦い での形勢逆転の大敗北。徳川幕府の裏切りによる会津帰国を経て、白虎隊 の誕生までを描く。
後篇「落城の賦」
慶応4年の戊辰戦争 の中、恭順姿勢も空しく朝敵 の汚名を背負い会津戦争 へ突入。白虎隊切腹 、娘子軍 の戦死、藩士家族の集団自刃、そして鶴ヶ城 開城。井上丘隅 ら生き残った藩士は斗南藩 へ移封(という名の一藩流罪)となり、新しい時代へと歩んでいく。
キャスト
会津藩関係
井上家の人々
重臣たち
松平家
藩士たち
女性たち
山本八重子 (覚馬の妹/のち新島襄 の妻)- 田中好子
中野竹子 (娘子軍)- 岩崎良美
西郷千恵子(頼母の妻)- 野川由美子
さつき(源七郎の許嫁)- 富田靖子
赤羽きよ(岩五郎の妹・源七郎の姉)- 美保純
中野こう子(竹子の母)- 赤座美代子
西郷律子(頼母の母)- 南美江
間瀬まつ(岩五郎・源七郎・きよの母)- 南田洋子
野村みね(駒四郎の母)- 榊原るみ
西郷細布子(頼母の長女)- 伊藤つかさ
永瀬くら(永瀬雄治の母)- 上村香子
間瀬ゆき(岩五郎の妻) - 星洋子
伊東すみ(伊東悌次郎の母) - 泉晶子
中野優子(竹子の妹)- 鈴木美奈子
西郷眉寿子(頼母の義妹)- 中西喜美恵
西郷瀑布子(頼母の次女)- 岩下佳寿美
西郷田鶴子(頼母の三女)- 中村克子
西郷常盤子(頼母の四女)- 長谷川令奈
西郷季子(頼母の五女)- 白木原和音
西郷由布子(頼母の義妹)- 吉原久美子
間瀬みつ(間瀬家次女)- 村上理子
間瀬つや(間瀬家四女)- 野田浩子
間瀬ゆふ(間瀬家六女)- 福田直子
平田小蝶(娘子軍)- 加藤由美
岡村さき子(同)- 桃山舞子
依田まき子(同)- 紅萬子
依田菊子(同/まき子の妹)- 椎谷友美
白虎隊士
野村駒四郎 - 坂上忍
篠田儀三郎 - 新田純一
飯沼貞吉 (のちの貞雄)- 宮川一朗太
間瀬源七郎 - 西川弘志
日向内記 (隊長)- 火野正平
伊東悌次郎 - 岸浩太郎
永瀬雄治 - 高野浩和
林八十治 - 剣弘紀
安達藤三郎 - 坂井徹
有賀織之助 - 砂川真吾
井深茂太郎 - 山崎聡弘
津川喜代美 - 中野浩靖
西川勝太郎 - 前田晃一
石田和助 - 内田慎一
石山虎之助 - 新井信彦
鈴木源吉 - 武藤大助
津田捨蔵 - 福岡浩伸
梁瀬勝三郎 - 中村俊昭
伊藤俊彦 - 柳沢伸悟
池上新太郎 - 斎藤喜之
梁瀬武治 - 小保内修司
野村駒四郎(幼年期)- 庄川正信
間瀬源七郎(幼年期)- 藤田龍美
篠田儀三郎(幼年期)- 小野孝
その他
幕府軍関係
新選組
桑名藩
徳川家
京都見廻組
奥羽越列藩同盟
但木土佐 (仙台藩士・会津戦争時・家老に昇格)- 三田明
瀬上主膳(同藩士)- 丹波義隆
竹俣美作(同藩士)- 真田実
東征軍関係
王政復古以前の京都関係者
土佐藩
公家
長州藩
薩摩藩
その他
スタッフ
主題歌
「愛しき日々 」(ポリスターレコード )
作詞 - 小椋佳 / 作曲 - 堀内孝雄 / 編曲 - 川村栄二 / 唄 - 堀内孝雄
補足
ほとんどの俳優が前年末放映された『忠臣蔵 』から引き続き出演している。また、翌年の『田原坂 』もほぼ同じメンバーである。
井上丘隅の娘で野村左兵衛の妻・ちか子は本作では斗南藩へと向かっているが、次々作『五稜郭 』では土方歳三を追って箱館戦争 へ参加し行方不明となっている(史実では井上丘隅、その妻・とめ子、長女・ちか子の3人は、次女で神保修理の妻・雪子が自刃する前日にやはり自刃している。それは飯盛山で白虎隊が自刃した日である。他にも史実では病死した野村左兵衛が戦死として描かれているなどの史実と異なる脚色が随所になされている)。
斗南藩へ向かった会津藩の人々は、不毛の土地での生活に苦しみ、うつり住んだ約4000人のうち、約2000人が餓死するなどしたが、極寒の不毛の土地でも育つ作物として、会津藩の人々は、りんごを育て始めた。それが後世に受け継がれ、青森県は現在、日本一のりんごの産地として有名になっている。
12月31日の放送では、当時の『NHK紅白歌合戦 』の裏番組としてはかなり高い17.2%(ビデオリサーチ 調べ、関東地区・世帯・リアルタイム)[1] の視聴率 をマークした。
前年作『忠臣蔵』は2日間とも約2時間半の放送枠だったが、『忠臣蔵』の好評もあって、本作は時間枠を拡大しており、先述通り2日とも約3時間枠で放映され、本編時間にして50分ほど拡大、「年末時代劇スペシャル」の“巨編化”が始まった作品ともなった。
日本テレビ では本放送から5年後の1991年12月30日(月曜) 11:50 - 17:00、その翌日に放送される『源義経 』の宣伝を兼ねて再放送された[2] 。
小島剛夕 劇画『白虎隊』(杉山義法原作、初刊・日本テレビ、1986年12月)も出版。小池書院 、電子出版 (全3冊)で再刊された。
特撮
鶴ヶ城 が新政府軍により砲撃される一連のシーンは特撮によって表現されており、およそ1メートルの高さの鶴ヶ城のミニチュアが作られた。大部分は木製で、石垣の部分は石に見立てた粘土を貼って表現されている。また本編映像では写っていないが北走長屋や半分だけではあるが鉄門もしっかり作られている。現在、このミニチュアは会津藩校日新館に展示されている[3] 。
地方局の放送状況
脚注
^ 「紅白 レコード大賞 それとも? 大みそかの夜 何を見ますか」『読売新聞 』1987年12月26日付東京夕刊、6頁。
^ 『読売新聞縮刷版』読売新聞社 、1991年12月30日。 同日付のラジオ・テレビ欄より。
^ 公式twitterによれば、撮影後に特別に譲り受けたものだという。