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北アメリカやヨーロッパ、日本などで夏から初秋にかけ、樹木の多い地域に発生することが多い。日本では北海道や長野県、標高800 m 以上の山岳地域などで発生が見られる。アメリカ合衆国では北東部、特にニューヨーク州周辺で発症例が多く、全米の発症例のうち5分の1がニューヨークで発生しているため、「ニューヨークの風土病」とすら言われる[3]。
媒介者
ライム病ボレリアを媒介する Ixodes ricinus 群のマダニは、北半球の温帯から亜寒帯に広く分布している。ユーラシア大陸では I. ricinus とシュルツェマダニI. persulcatus が、北アメリカ大陸では I. scapularis と I. pacificus が Borrelia burgdorferi を消化管に保菌しており、媒介者として機能している。具体的には、病原体を保有するノネズミや鳥から吸血し、病原性を有したマダニにより媒介する。日本ではシュルツェマダニが媒介者となっているほか、ヤマトマダニから B. japonica が高確率で検出されているが、この種は病原性がないかきわめて微弱であると考えられている。シュルツェマダニは北方系で、日本では中部地方以北で密度が高く、北海道では平地の草むらでも普通に見られる。
マダニの刺咬より数日 - 数週間。マダニは数日間吸血し続け、若虫では数 mm、成虫では1 cm 程度まで飽血する。ボレリアのマダニからヒトへの伝播には、48時間以上の吸血が必要とされる[4]。ダニが刺した部位で菌が増殖し、3 - 32日間かけて周囲の皮膚へ広がる[5]。
第1期:感染初期 (stage I)
マダニの咬着より数日から数週間後に、刺咬部を中心とした特徴的な遊走性紅斑を呈する。この症状は、狭義の B. burgdorferi 以外による非典型的なライム病でもすべてに共通して発症するが、無症状な人も約25%いる[5]。リンパ節の腫張や、筋肉痛、関節痛、頭痛、発熱、悪寒、倦怠感などのインフルエンザ似の症状を伴うこともある。体調の悪さと疲労感は数週間続くので、紅斑が出ない場合は特にインフルエンザやかぜと間違えられることがある[5]。