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シャンパンあるいはシャンパーニュ(仏: Champagne[† 1][† 2])は、フランスのシャンパーニュ地方特産のスパークリングワイン(ブドウの醸造酒)である。
キリスト教修道士ドン・ペリニヨンが確立したと伝えられる瓶内二次発酵と、アッサンブラージュと呼ばれる様々な原酒のブレンド、さらにティラージュおよびドザージュと呼ばれるシロップの添加に大きな特徴がある。歴史的にそれ以前の同じブドウの発泡酒ながら、白濁したものとは異なるオリを取り除く製法の確立によって、透明な発泡ワインとなって以来上流階級の好むところとなり、国際的に著名な酒の一種として現在に至る。
フランスのシャンパーニュ委員会(CIVC)はフランス語発音に近いシャンパーニュを用いることを推奨しており、フランス語を学んだ日本人は日常会話でも自然にそう発音するが、フランス語を話さない日本人の日常会話ではそのような発音はあまりしない。なお日本語の「シャンパン」も一応はフランス語/ʃɑ̃paɲ/に由来する読み方であり、許容範囲である。なお「シャンペイン」[† 2](英語:/ʃæmˈpeɪn/)は英語読みであり、主に英語圏で使用される。
昔の日本では、三変酒とも呼ばれた[1]。酸半(サンパン)とも表記された[2]。かつて香港および上海では三鞭酒[† 3]と当て字された。現代中国語では主に香檳酒[† 4]と表記される。
TRIPS協定の地理的表示に指定され、世界でブランドが保護され、アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレで「シャンパン」と定められた物(フランス共和国シャンパーニュ地方で、定められた製法で作られた物)のみ『シャンパンの名称』を使うことが出来る。それ以外の物をシャンパンと呼ぶのは日本においても違法になる。
シャンパンを含む発泡性ワインの一般名称(包含する上位概念)はスパークリングワインである。
シャンパンは、フランスのシャンパーニュ=アルデンヌ地域圏で生産されたブドウのみを使い、瓶内二次発酵を行った上で封緘後15か月以上の熟成を経た、いわゆるシャンパン製法のスパークリングワインを指す。元となるワインは様々なレシピによりブレンドされる点や、二次発酵のために発泡の元となるシロップを添加(ティラージュ)、また仕上げに、リキュールとシロップの添加(ドザージュ)する点も特徴である。
ほぼ同様の工程を経たスパークリングワインに、スペインの「カヴァ」、イタリアの「スプマンテ」(一般名詞)、ドイツの「ゼクト」(一般名詞)、フランス国内でもアルザス地域圏の「クレマン・ダルザス」、ペイ・ド・ラ・ロワール地域圏の「クレマン・ド・ロワール」、ブルゴーニュ地域圏の「クレマン・ド・ブルゴーニュ」等があるが、シャンパンはその選定基準の厳しさと熟成期間の長さにおいて突出している。またフランス国内の酒屋(それぞれのクレマンの産地地元は除いて)やスーパーマーケットでも、シャンパンは他地域のスパークリングワインと比較して、ずっと高額で販売されているのが一般的である。
現在シャンパンと言う場合、1919年にAOC(アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ。原産地呼称統制法)によって定められた定義は『シャンパーニュに使用できるブドウ品種は、ピノ系品種とアルバンヌ、プティ・メリエのみ』である[3]。
また、2010年11月22日の政令による定義に基づき、シャンパーニュ地方で造られた7つのブドウ品種、黒ブドウはピノ・ノワール(Pinot Noir)とムニエ(Meunier)、白ブドウはシャルドネ(Chardonnay)、ピノ・グリ(Pinot gris)(古代名:アンフュメまたはフロモントー)、プティ・メリエ(Petit Meslier)、ピノ・ブラン[4]、アルバンヌを材料として醸造された「スパークリングワイン」のことである[5]。
1919年のAOC定義に、シャルドネが指定品種の中に含まれていなかったのは、ブドウ品種の分類に関する研究があまり進んでおらず、シャルドネはピノ系のブドウに含まれていたためである。
AOCが制定された当時、シャンパーニュ地方以外の地域でも、シャンパンという名称でスパークリングワインが生産されており、スパークリングワインの一般名称であった。現在でもカリフォルニア・シャンパンという呼称でカリフォルニア産のスパークリングワインがつくられているのは、200年以上生産されてきた歴史に基づいている。
しかし近年では、フランスのAOC法が尊重され、AOCの規格に則って製造されたシャンパーニュ地方製のスパークリングワインだけが、シャンパンと名乗ることを認められ、その他のフランス製スパークリングワインは、ヴァンムスー(仏: Vin Mousseux)と呼ぶ。
なお日本では、これに似せて作られた清涼飲料水を「ソフトシャンパン」と名付けて販売していたが、フランス政府からの抗議があり、商品名をシャンメリーに変更した。またスイスのシャンパーニュでは、フランスのシャンパーニュより早くから、伝統的にワインを造っていたが、1974年に世界貿易機構により、この土地で生産されたワインやビスケットなどについて「シャンパーニュ」というラベルを使用することを止めるよう命令された。 また、アメリカ合衆国のビール会社ミラー社は、長らく自社製品に「ビールのシャンパン」と銘打って販売、業界団体のシャンパーニュ委員会が苦情を申し立てている。2023年、ベルギーの税関は同委員会の苦情を受け入れ、アントワープ港の税関で差し押さえた2352缶を廃棄処分とした[6]。
シャンパンは生産者毎に番号が振られており、ラベルに記載される。
シャンパンは最も多くの場合、黒葡萄と白葡萄の配合によって造られる。白葡萄で主に使用されるのはシャルドネ種であり、黒葡萄でよく使用される2種類はピノ・ノワールと、ムニエである。近年、上記以外のピノ・ブラン、ピノ・グリ、アンフュメ、アルバンヌ、プティ・メリエなどの品種が使われている銘柄も存在する。
赤ワインの色合いはその果皮に由来するため、果汁は圧搾機で果皮から色素が浸漬しないように手早く静かに搾られ、白い果汁が取り出される。ロゼのシャンパンは、黒葡萄の果皮を微かに色付けのために与えた後に取り出すセニエ(マセラシオン)方式、または、瓶内二次発酵前のベースワインにシャンパーニュ産の赤ワイン添加(アッサンブラージュ方式)によって造られる。シャンパンに使用される葡萄は一般に、この地方が葡萄栽培地として寒冷地の北限にあたる為、糖度が低く酸の強いものが多い、しかしこの強い酸がシャンパンに他のスパークリングワインには真似できない気品を与えると言われている。また収穫はAOCにより手摘みに限られる。
最初の発酵は秋に、非発泡性ワインと同じ方法で行われ、果実に含まれる糖分がアルコールへと転換される。これが「ベース・ワイン」となるが、このワイン自体は酸味が強過ぎて面白みに欠けるものが多い。この時点で、様々な畑の、あるいは、「ノン・ヴィンテージ・シャンパン」の場合には様々な年のワインを使ったブレンド(アッサンブラージュ、assemblageと呼ばれる工程)が行われる。各作り手のブランドイメージに沿ってブレンドされ、作り手の腕の見せ所でもある。また良い葡萄が収穫された年に造られた優れたブレンド用のワインはリザーブワイン(又はヴァン・ド・レゼルヴ、vin de réserve)と呼ばれ、その配合が品質に強い影響をあたえる為、良いリザーブワインの確保が作り手にとって重要であると言われている。
ブレンドされたワインは、炭酸を得るための二次発酵の準備として酵母とその発酵を促進するため蔗糖の入ったシロップをワインに加える(ティラージュ、tirageと呼ばれる工程、補糖ともいわれる)。そして瓶詰めされワインの貯蔵室に置かれる。貯蔵室は石灰岩の地下深くに掘られた洞窟を使用していることが多い。発酵によりアルコールと泡の源である二酸化炭素が発生し、瓶内に閉じ込められ、ワインの中に溶け込む。発酵が終わり役割を終えた酵母は澱となり、その澱とともに寝かせることによって、酵母が分解作用でとり込んだうまみがワインに徐々に戻される。その後ピュピトルと呼ばれる台に差し込み保管される。瓶は毎日微かに(1/8)回転させながら徐々に倒立した状態にさせられ、澱が瓶の首の部分に集まり(ルミュアージュ、remuageと呼ばれる工程)除去が可能となる。昔は職人が手作業で行っていたが、現在は非常に手間のかかる手作業よりもジャイロパレットと呼ばれる機械でルミュアージュが行われることが多い。出荷が近づくと瓶の口を氷点下20度に冷却し、栓を抜くことで気圧により凍結させた澱がぬけ、澱が除去(デコルジュマン、degorgementと呼ばれる工程)される。冷却せずに手作業で澱を除去する昔ながらの方法もある。目減りした分はワインに糖分を添加したリキュールで補充(ドザージュ、dosageという工程)される。この作業はシャンパーニュ造りの終りの工程であるため、添加するリキュールは「門出のリキュール」とも呼ばれる。このときの糖分の量で甘口か辛口かが決まる。
最も甘口のものは「ドゥー」(doux)(残糖分50g/L以上)と呼ばれ、辛口になるにつれて「ドゥミ・セック」(demi-sec)(32g~50g/L)、「セック」(sec)(17g~32g/L)、「エクストラ・ドライ」(extra dry)(12g~17g/L)、「ブリュット」(brut)(12g/L未満)、そして「エクストラ・ブリュット」(extra brut)(6g/L未満)がある[7]。従ってエクストラ・ドライを直訳した「極辛口」のシャンパンは実際には、ブリュットと書かれたものよりは甘いのである。幾つかの作り手は、糖分を添加しない「ブリュット・ナチュール」(brut nature)を造っている。ドザージュの後、瓶にコルクで打栓(bouchage)され針金つきの金具でとめる。
製品はティラージュ(tirage)後、最低でも15か月寝かせるまでは、AOCにより出荷が禁止されているが、より長い方が望ましい。「ヴィンテージ・シャンパン」は、最低3年寝かせる事が決められている。
シャンパン用のグラスにはクープとフルート(仏:フリュート)がある。
下記のイベントなどでは基本はシャンパンを使うが、地域によってはウィスキーや日本酒など国柄や地元の特産酒を用いる場合や、一般的なスパークリングワインで代用する場合も有る。