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ブルーバック (Blue back) とは、映像、表示などにおいて、背景(バックグラウンド)が青い色をしている状態のこと。青い背景は、様々な分野で異なった目的、状況で用いられている。
ブルーバックは、合成に用いる映像素材を撮影する際に、青い布などの背景を用いる技術。また、その青い布などを用いて作られた背景。青い背景(ブルーバック)の前で人物などを撮影し、ブルーの部分に別に用意された背景を合成する。
1956年(昭和31年)、『白夫人の妖恋』(東宝)で、特技監督の円谷英二により日本映画界で初めてこの合成手法が用いられた[1]。
ブルーバック合成の歴史は古く、モノクロフィルムによって映画が撮影されていた時代に遡る。ブルーに対する感度が鈍いフィルムを使って撮影をすると、ブルーの部分が真っ暗に写る。そのフィルムを適正な露出でリスフィルム(超硬調のフィルム)に転写するとブルーの部分とそれ以外の部分とを区別するマスクを作ることができる。それらの素材をオプティカルプリンターを使って光学合成を行い、ブルーの部分に別の映像をはめこんで合成する[2]。
カラーフィルムの普及後もブルーバック合成は使われ続けた。その手法は以下のようなものであった。
なお、マスクの作成には上記のようにブルースクリーンを使う以外に、ナトリウムランプを使用した「ソジウム・プロセス」(映画『メリー・ポピンズ』など)、手書きのハンドマスクを用いるもの、モーションコントロールカメラとミニチュアを用いる手法などがある。
ビデオの世界では、ブルーバック合成とは呼ばず、たいていはクロマキー合成と呼ぶが、アナログ時代ならいざ知らず、クロマ信号でキーイングする事は少なく、実際にはUltimatte、Primatte Keyer、Keylightなどと呼ばれるキーヤーで合成用のトラベリングマットを生成する。背景にブルーが使われることが多いのは、フィルムプロセスで一番実現性の高い色であったのと、肌の色が補色の関係(特に黄色人種)にある事が大きい。
グリーンバックも最近よく見かけるが、ライティングの光量がブルーほど要らない為に非常に大きな背景の場合にはグリーンの方が有利である。また、白人はマゼンタの成分を持つ肌色のため、補色であるグリーンが使われる場合もある。ブルーとグリーンのどちらにするかは、撮影する人物の「服装」により使い分けられることが多い。
ブルーやグリーンの回り込み(スピル)はアナログ時代では非常にやっかいな現象で、補色の関係にあるライトを当てて消したり、カラーセパレーション(色分解)した段階でカブリを除去するなどしていたが、どの方法も決定的な解決法ではなかった。Primatte Keyerはこの問題をカブリ分を別マスクにしてその部分に背景素材をぼかして被写体に重ねることで、合成時のなじみが格段に改善され、合成であることが観客に全く気付かれない所まで仕上げることが可能になってきた。
アナログ時代には考えられなかった事だが、被写体にわざと多量の背景色の色カブリを起こさせて撮影する場合もある。
撮影現場の費用が非常に高価なハリウッドなどの映画では、背景にブルーやグリーンを立てる手間と時間の費用と配役のギャラを考えると、そのまま撮影して、ポストプロで多くの人間が手作業で一定期間掛けて移動マスクを作る方が安い場合も多々ある。さらにリアルタイム3DCG表示技術の進歩により、カメラ位置に連動してCG背景を映写する巨大なスクリーンの前で直接役者の演技を撮影し、合成プロセスそのものを不要にする「バーチャルプロダクション」が実用レベルになり、専用スタジオも登場している[3]。
SFXの部屋/マスク合成の基礎 - ウェイバックマシン(2004年7月12日アーカイブ分)